大阪科学技術館


株式会社 フジキン

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3億年前から存在する魚「チョウザメ」

チョウザメは主としてカスピ海、黒海などに棲息する古代魚であり、その卵はキャビアとして広く世界で珍重されています。また、世界的稀少魚種でもあります。フジキンはそのチョウザメの人工ふ化と、水槽での完全養殖に成功しました。このことから、フジキン産のチョウザメを「キャビア・フィッシュ」と呼んでいます。ぜひ、目の前で泳いでいる姿をご覧ください。


展示紹介ビデオ


チャレンジ・ヒストリー

生きた化石 チョウザメを養殖

3億年も昔から地球上に君臨し、今に生きる「生きた化石」、チョウザメ。シーラカンスと同世代です。
恐竜が絶滅した地球大変革期、マンモスが死滅した大氷河期をものともせず、絶滅しないで生き続けてきた強靭な生命力には、なにか「わけ」があるに違いありません。ここに注目し、また進化の生きた証言者として着目し、チョウザメを題材に研究を行っています。
1989年、ソ連(現ロシア)から100尾の幼魚を導入して飼育実験を開始。当時はチョウザメに関する資料がほとんどなく、入手できたのはロシア語の論文だけ。私たちはほぼゼロからチョウザメの飼育にチャレンジしました。チョウザメは歯がなく、口が下向きについているので、沈む餌を飲み込むようにして食べることがわかりました。また、ロシアの魚なので冷たい水でなければ育たないと考えられていましたが、30℃近い水温でも育つことがわかってきました。飼育が軌道に乗った1992年、民間企業で初めて人工ふ化にも成功しました。しかし、ふ化した稚魚の生態がわからず、初年度は数十匹しか生き残らせることができませんでした。その稚魚を大事に育て、「フジキン産第一号」のチョウザメが1998年に卵を抱えました。日本の飼育環境でも繁殖できることが証明され、「完全養殖」に成功しました。そして現在では、チョウザメが日本各地で養殖されるようになり、「日本産キャビア」が販売されるまでに至っています。
様々な研究所がチョウザメに着目しています。古生代の魚を研究しようとしても、シーラカンスはとても希少で、いつ手に入るかわかりません。しかしチョウザメは同世代の魚の中で唯一人工繁殖させることができ、最も入手しやすい生物なのです。チョウザメの研究によって、進化の謎が解明できる日が来るかもしれません。