4種類の代表的なニッケル基耐熱合金について、線膨張係数と熱伝導率を測定した。
ニッケル(Ni)を主成分とする耐熱合金はこれまで、石油精製装置、ジェットエンジン、ガスタービンなどのように極めて高温で過酷な環境で使用される構造部材として、広く利用されている。 近年、長期エネルギー戦略等の観点からもニッケル基超合金は次世代高効率ガスタービンのための基幹材料とされている。 先進的なNi(ニッケル)基高温材料は超高効率複合発電や超高効率コジェネレーション・システムなどにより、グローバルなCO2排出量の大幅削減を可能性を秘めている。
現在のNi基高温材料に関するデータについて、内外のデータ源を調査したところ、Ni基高温材料を使う高温機器・構造物の設計に必要な材料特性データの中で、とくに熱膨張率と熱伝導率の値に信頼のおけるものが少ないということが判明した。そこで、4種類の代表的なNi基耐熱合金について、線膨張係数と熱伝導率の測定・評価を行った。材料の熱伝導率を直接的に測定することは極めて困難なので、熱拡散率、比熱、及び密度を測定して熱伝導率を算出することとした。