平成15年度「宇宙の日」記念行事
全国小・中学生作文絵画コンテスト入賞作品ご紹介
9月12日は「宇宙の日」。毛利衛さんがスペースシャトル“エンデバー号”で初めて宇宙に飛び立った日です。
この「宇宙の日」の記念行事として文部科学省・宇宙科学研究所・国立天文台・航空宇宙技術研究所・宇宙開発事業団・日本科学未来館・(財)日本宇宙フォーラム・(財)日本宇宙少年団とともに毎年、小中学生を対象に宇宙をテーマにした作文と絵画のコンテストをおこなっています。大阪科学技術館では作文381作品、絵画61作品の応募がありました。その中から作文と絵画の作品をご紹介致します。
作文・絵画テーマ
「ようこそ、火星へ」
大阪科学技術館 小学生の部 最優秀作品
大阪科学技術館 中学生の部 最優秀賞作品
宇宙科学研究所長賞受賞 「ストーム・アドベンチャー」
スペース・スキーに、新星誕生ウォッチング、宇宙食バイキング、そのほか盛りだくさんの予定に私の胸は弾んでいた。私たち三人きょうだいと両親は火星ツアーのためにはるばる宇宙船でこの火星セントラル空港まで飛んできたのだ。これからまずフレイム一号基地を見学し、それからホテルに向かうのだ。他の乗客たちも乗り換えるために急いでいる。私たちも待っていたアルファ特急に滑り込んだ。まさに発車しようとした時、ぎりぎりに乗り込んできた三メートルもあるゴムボートみたいなギリス星人が入り口にいた私たちきょうだいを外に弾き飛ばした。三人とも転んでしまい、ひっくり返った私の目にはどんどん遠ざかっていく特急が見えた。「どうしよう?基地までノンストップで一時間半も走るのに。」私は頭を抱えた。父に連絡を取ろうとして、宇宙フォンに替わっていたことを思い出した。番号のメモは、行ってしまったバッグに入っているのだ。「ホテルに直接行くしかないわ。」私は、通りかかった乗務員さんにそこに行く方法をたずねた。「まぁ、気の毒に。でも、もう明日まで何もないわ。あそこは特別な場所にあるから。」がっかりして困っている私たちに、火星カフェをしまいにやってきた若い男の人が、この下でレンタル宇宙自転車が今日まできたばかりだと教えてくれた。私たちはお礼を言い、店が閉まらないうちにとあわてて走った。
「これ大丈夫かなぁ」妹が不安そうに言った。卵形のカプセルに組み込まれたきゃしゃな自転車。店のおじさんは、もう帰ろうと、「どうするんだね」と催促した。私たちは三人乗りのを借り、おじさんの簡単な説明どおり行く先を入力した。恐る恐るスタートボタンを押すと、自転車は猛スピードで飛び出した。私たちは必死にハンドルにしがみついた。自転車は火星のピンク色の大気の中を疾走した。赤茶けた大地が続き、遠くにマリネス渓谷が見えた。物寂しい景色が一層不安にさせた。「あれ見て!」弟が叫んだ。右手から目もくらむような巨大な光の渦が襲いかかろうとしていた。稲妻が走り、星が割れそうなすさまじい音がした。次の瞬間、私はカプセルの壁にたたきつけられ、無意識の闇に落ちていった。
「??」私は暖かい光の中で目覚めた。ふぉわふわした絹糸のような塊の上で横たわっていた。妹と弟は横でなにか緑の液体の入ったコップを手にして飲んでいた。「ダイジョウブ?」銀の鎧のような生命が近づき、軽やかな声で話しかけた。私が驚いていると妹が「このジュースとてもおいしいよ。お姉ちゃんももらったら」と言った。あきれていると、生命体は「自分は最高火星統治官のペテルだ」と名乗った。なんと彼らは、火星の地下にはるか大昔から住んでいた火星人なのだ。「翻訳機があるから話してごらん。」よく見ると、ペテルのほかにたくさんの火星人が建物の中で働いていた。私は光の爆発に巻き込まれたのだと説明した。「よくあるストームだ。君たちはクレパスから国会堂の庭に落ちてきた。幸運だったね。この前もリップル星人が博物館の屋根を台無しにし、彼もばらばらになってしまったんだが、二日入院して元通りになって帰ったよ。わが火星の科学力は宇宙一の水準なんだ。」
ペテロは親切にも火星の地下の世界を案内してくれた。たくましい「木」が森を作り、そこには見たいこともない鳥や動物のような生き物が暮らしていた。いくつもの美しい川や湖すらあり、頑丈そうな魚たちが泳いでいた。驚くべきことに、地球の恐竜や大昔の哺乳類までいた。「これは私たち先祖が昔地球を調査した時持ち帰ったものがそのまま生き残っているんだ。私たちは『適正な環境作り』の専門家だからね。」私は、地球の環境問題を話した。「できたら、星間協力条約を結びたいな。火星も、この森をもっと拡大するためにより多くの二酸化炭素や肥料としてのゴミや人手が必要なんだ」私はうれしくなった。火星人と地球人が協力して、お互いの星をもっとすばらしく発展させていけたら。そしてその輪がこの宇宙に広がり、いろんな星の生命体と力を合わせて輝く未来を作っていけたらすばらしいだろう。「君たちはこの宇宙のために働いてくれる?」「もちろんです!」私たちは大きな声で答えた。
彼は、私たちを小型宇宙船でホテルまで送ってくれた。心配していた父と母が駆けつけた。そして、火星人が来たので、ホテルの中が大騒ぎになった。「あれ?」弟が落ちていた新聞を拾った。大きな見出しで「火星人地球に友好的メッセージを送る」とあった。その下に、にっこりと火星人と握手している私たちの写真が載っていた。
それから、二つの星は助け合い、火星も緑の惑星になり、地球は美しい環境を取り戻した。