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2024年10月19日(土) 13時00分~16時30分に第24回LSSサイエンスカフェ「外から内からキレイをサイエンス ~知りたい!日焼けのメカニズム、なりたい!キレイで元気な毎日~」を来場(大阪科学技術センター8階 中・小ホール)とオンライン参加のハイブリット形式で開催し、79名のご参加をいただきました。ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。
今回のLSSサイエンスカフェでは、紫外線をはじめとした光のメカニズムや、キレイにだけではなく私達を元気にしてくれるといわれている「美容」について紹介いたしました。
光とは電磁波の一種で、波長によって異なる性質を持ちます。波長が短いほどエネルギーが大きくなります。太陽光には、紫外線、可視光、赤外線が含まれます。紫外線は波長によってUV-A、UV-B、UV-Cに分けられ、UV-Cはオゾン層で吸収され地表には届きませんが、UV-AとUV-Bはオゾン層を透過します。可視光よりも波長が短く、その分エネルギーが大きくなるため日焼けの原因となります。UV-Aは真皮まで届き肌を黒くする紫外線で、UV-BはUV-Aよりも波長が短いため表皮で止まりますが、炎症を引き起こし肌を赤くします。赤外線は波長が長く、暑さの原因になります。日光浴の良い影響としては、適度な光を浴びることは健康維持に必要であり、紫外線を浴びることで体内(皮下)ではビタミンDが生成され、骨を丈夫にし、免疫力の向上などにつながります。一方で悪い影響としては、シワ、たるみ、シミ、ソバカスなど皮膚への影響や皮膚がんのリスク増加などがあげられます。
紫外線対策の一つとして、さまざまなタイプの日焼け止めがありますが、UV-AやUV-Bをどれだけ防ぐかの指標となるのが、PA値とSPF値です。PAはUV-Aに対する防御法を示し、+が多いほど効果が高くなります。SPFはUV-Bに対する防御法を示し、SPFの数値が大きいほど効果が高くなります。しかし、効果が強くても長持ちするわけではなく、使いたいシーンに合わせて適切に選ぶことが大切です。汗をかいたり時間経過とともに落ちてしまうため、こまめに塗りなおすことも必要です。また、帽子やサングラスは顔に当たる紫外線を減らすことができます。日傘の色を、外側が白、内側を黒にすることで、より効果的に照り返しや暑さを軽減できます。
人生は7の倍数で変化すると言われています。年齢による身体の変化についても、7年後、14年後の自分の為に対策を立てるきっかけとして捉えればまた新しい人生が広がってくるのではないでしょうか。デンマークの双子を対象とした研究によると、若く見える人は長生きする傾向があり、見た目年齢は内臓年齢と比例し、IQ知能指数にも関係する結果が出ています。また、皮膚は最も大きな臓器であり、外観・健康・心の状態を映す三面鏡ともいえます。キレイの極意ですが、男女共通でまずやってほしい事は、洗顔と保湿と日焼け止め又はファンデーション、この3つです。寝ている間も皮脂は活動しているため朝の洗顔はとても大切です。自分の肌の状態を観察し、部位別ケアを行うことで乾燥を防ぐことができます。肌にトラブルがあると老けて見えるため、日焼け止めを塗る、ファンデーションを使う、ということが大事です。メイクアップは認知症予防に効果があります。特に眉毛を描くことは集中力を要し、左右対称にしようと頭を使うため、下手でもいいから眉を描きましょうと高齢者の方には進言しています。これは男性も同じです。眉が綺麗だとシャキッと見え、清潔感があると、この人の話を聞こうという感じになりませんか?
化粧療法の効果について、「認知症にどんな影響を及ぼすか」という岡山大学との共同研究で、2週間に1回の化粧療法を3か月継続してみた結果、抑うつ・妄想・幻覚などの症状が和らいだり、認知症のスコアの改善がみられました。美容に気を使うことは、外見の変化だけでなく、内面に大きな変化が現れます。人に触れられることが大切です。化粧は気粧、気持ちです。
ファシリテーター:LSS委員
井奥 加奈 氏(大阪教育大学 教育学部 教授)
中村 さわ子 氏(大阪ガス(株) 広報部
グループ広報企画チーム)
今回のフリーディスカッションでは、男女を問わず活発な質問があり、講師から専門的にわかりやすく回答いただきました。
講演の前後には、ナリス化粧品様によるハンドセラピー体験・美容製品のご紹介や、日焼けや美容に関連するパネルの展示等を行いました。
ご参加いただいた皆様からは、「どちらの講演も大変わかりやすく、勉強になりました」「実践しようと思います」等好意的な感想が多く、参加者に満足頂くことが出来ました。
LSS(レディース・サイエンス・セッション)では、気軽に科学に親しんでいただくために、科学技術広報として2011年より「サイエンスカフェ」を開催しております。
「このようなテーマのお話を聞きたい」、「LSSと共同・協力してサイエンスカフェを開催したい」など、LSSの活動にご興味ございましたら、ぜひlss@ostec.or.jpまでご連絡お問い合わせください。