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第22回LSSサイエンスカフェ

大人と子どもとデジタル機器 ~その対処法とつきあい方~

サイエンスカフェ22

2023年3月21日(火) 13時30分~16時30分に第22回LSSサイエンスカフェ「大人と子どもとデジタル機器~その対処法とつきあい方~」を来場(大阪科学技術センター8階 中・小ホール)とオンライン参加のハイブリット形式で開催し、85名のご参加をいただきました。ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。

今回のLSSサイエンスカフェでは、近年の社会変容の中でデジタル機器を使う機会が増えてきたことを踏まえ、デジタル機器からの影響への対処法やつきあい方について紹介いたしました。

■講 演
「ゲームやインターネットとのつきあい方~一人ひとりに合わせてポジティブに~」
吉川 徹 氏
(愛知県医療療育総合センター 中央病院子どものこころ科(児童精神科) 部長)
吉川 徹夫氏の写真

近年、社会変容する中で大人も子どももデジタル機器を使う機会が増えてきました。特に、子ども達はインターネットを使って多種多様な相互的、継続的コミュニケーションを形成しています。新型コロナウイルス感染症が流行した昨今、子ども達にとって、インターネットは日常の居場所としても、避難場所としても、存在がどんどん大きくなっています。しかし、ゲームやインターネットの世界は、安全に使うための文化的装置が成熟していないという現状があります。子ども達が使っているICTのリテラシーを、大人達も持っておくことが重要です。

ICTリテラシーとは、情報ネットワークを正しく利用することができる能力のことを指します。ICTリテラシーを身に着けるためには、この教育を早期から行うことが必要であると考えます。今、家庭や学校、塾など、子ども達がどこでICTリテラシーを身に着けるのかが課題となっています。

アルコール依存のように、物質に対して依存があるように、ゲームやインターネットに関して、嗜癖の状態が起こり得ると考えられるようになっています。ゲームについてはゲーム行動症などの診断基準が作られていますが、インターネットの嗜癖に関しては、広く合意された診断の基準がありません。インターネットの使い方は人によって様々で、どこまでが健康的な使い方で、どこまでが病的な使い方なのか、研究者によって意見が分かれるためです。

また、問題の本質が嗜癖ではない場合もあります。ゲームやインターネットへの嗜癖が問題視され病院を訪れる子どものほとんどが、不登校や抑うつ、発達障害など、嗜癖よりも優先順位の高い課題を持っています。依存症は孤立の病と呼ばれています。現実の世界で頼る先がないので、ゲームやインターネットのコミュニケーションに頼るという状況があり、これがゲームやネットへの嗜癖になるという考え方がされるようになっています。インターネットへの嗜癖を病気だとするならば、そのせいで子どもが孤立を深めるということが絶対にないようにしなければなりません。

インターネットやデジタル機器は子どもが安全に使えるものではありません。しかし、大人になるまでに使い方を覚えておかなければいけないものでもあります。そのために、ゲームやインターネットを利用する前のルール作りが必要になります。最初は機器の所有権を親に持たせ、完全な大人のコントロール下で利用を開始するなど、「子どもが守るもの」ではなく、「大人が守らせるもの」として約束を交わすことが望ましいです。

また、ゲームを予定通りの時間に終了することが出来たらご褒美を与えるといった直接的動機づけの他に次の使用機会の保持など、デジタル機器使用を「お終いにする」ことへの嫌悪感を育てないことや、年齢に合わせた制限を設けることなどで、ゲームやインターネットへの嗜癖を予防することができます。

そして、ゲームやインターネットへの嗜癖を遠ざけるためには、家族との質の高い時間を持つ事も大切です。父親と共に料理をしたり、母親と共に釣りに行くなど、ゲームやインターネット以外の子どもがやりたいと思うことを見つけていく必要があります。

デジタル機器やインターネットの使用は避けて通れない道となった今、リアルの活動も楽しめるように子ども達に働きかけていくこと、大人がゲームやインターネットの知識を持つことで、より子どもを守りやすくなることを理解することが大切です。

■フリーディスカッション
ファシリテーター:LSS委員
吉原 静恵 氏
(大阪公立大学大学院)
前原 彩希 氏
(産経新聞社 大阪本社)
フリーディスカッションの様子

今回のフリーディスカッションでは、実際にお子様を持つ親御さんや高校生の方など、様々な年代の方々から活発な質問があり、講師から専門的にわかりやすく回答いただきました。

「世代間等でゲームやスマートフォンの利用について考え方の違いがあると考えられるが、そこで対立が起きた場合、どのように乗り越えていくのか」という質問には、「世代間の対立を乗り越えることは難しいが、子どもにとってのインターネットの役割を一緒に分析していくことで、意見をすり合わせていくことは可能ではないか」とのご回答をいただきました。

■ストレッチ体験講座&パネル展示

講演終了後は、デスクワーク等で影響がある首・肩回りのコリについての対処法として(公社)大阪府柔道整復師会 松原 大貴先生の指導のもと、効果的なストレッチ講座を実施いたしました。来場参加の方だけでなく、オンライン参加の方々もリラックスしてご参加いただける講座となりました。

ご参加いただいたみなさまかからは、「子どもたちの現状についての解説、そして子どもとの約束の仕方など具体的な方法を教えていただけたのが良かったです」「子どもとのコミュニケーションのとり方を、考えさせられた。ゲーム・インターネットは「悪」という考え方がやわらいだ」「他の家庭の事例が知れたことと、具体的なICT機器との付合い方を学べたことがよかった」などのコメントをいただきました。

ストレッチ体験講座の様子
ストレッチ体験講座の様子
パネル等展示の様子
パネル展示の様子
協賛・協力機関:
大阪ガス㈱、㈱大林組、サントリーホールディングス㈱、日立造船㈱、(公社)柔道整復師会

LSS(レディース・サイエンス・セッション)では、気軽に科学に親しんでいただくために、科学技術広報として2011年より「サイエンスカフェ」を開催しております。

「このようなテーマのお話を聞きたい」、「LSSと共同・協力してサイエンスカフェを開催したい」など、LSSの活動にご興味ございましたら、ぜひlss@ostec.or.jpまでご連絡お問い合わせください。

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