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第23回LSSサイエンスカフェ

備えて安心!防災のススメ

サイエンスカフェ23

2023年11月4日(土) 13時00分~16時30分に第23回LSSサイエンスカフェ「備えて安心!防災のススメ」を来場(大阪科学技術センター8階 中・小ホール)とオンライン参加のハイブリット形式で開催し、69名のご参加をいただきました。ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。

今回のLSSサイエンスカフェでは、高い確率で発生が予測されている「南海トラフ巨大地震」など、いつ起きるかわからない自然災害に向けて、被災時のこころのケアや備える方法について紹介いたしました。

■講 演
「被災後のストレスを軽減するために ーこころの防災を考えるー」
元吉 忠寛 氏
(関西大学 社会安全学部 教授)
元吉 忠寛氏の写真

災害に備えて、食料やトイレ等を備蓄しておくことも非常に重要ですが、被災後に忘れてはならないのが「心の問題」です。今回は、被災によって心が受ける影響について考えます。

被災によって、私たちの心は、生命の危機や恐怖などの地震そのものの影響や、大切な人やものを失った悲しみ、ライフライン停止等による日常生活の変化など、様々なストレスに晒されます。ストレスを抱えると体の不調など様々なトラブルに繋がり、災害時はそれがより顕著に現れます。

心の状態をゴムボールに例えると、ストレスは、元々丸い状態の物が、ストレスの原因であるストレッサーに押され、ゆがんだ状態を表します。元の状態に戻ることもありますが、ストレッサーが強くて、うまく抵抗できない場合には、心の状態に問題が起きることに繋がります。ストレスマネジメントをすることで、ストレスに適応していくことが重要です。同じストレッサーでもゆがみにくさには個人差があり、その人のストレス耐性と関連します。ストレスに対する抵抗力を高めることができれば、災害時に大きな問題を抱えないで済む可能性があります。

被災後には、一過性の正常な反応として、多くの人に不安や頭痛、思考力の低下など、ストレス反応が現れます。多くの場合、これらのストレス反応は数日から数週間で回復していきますが、ストレス反応が長く続き、社会生活ができなくなってしまう場合は注意が必要です。災害時の心の反応を理解し、認識することが重要です。

また、被災した子どもの感情表出には配慮が必要です。子どもが被災経験について話し始めた時には、話を遮ったり促すのではなく、しっかりと受け止め、今は安全であることを伝え安心させることが大切です。

被災後に必要な力の1つとして、ソーシャル・サポートがあります。周りの家族や友達、社会から支えてもらっている感覚は、ストレスケアにおいて非常に重要です。また、自分の力で日常を取り戻す感覚も必要になってきます。これらの力は、普段の生活の中で意識することで、災害時に備えることができます。自分自身に余裕が出来ると、周りの人を支援することにも繋がります。

支援者として災害ボランティアに行く場合でも、様々なストレスを感じることがあります。混乱した環境の中で、いつも以上に頑張りすぎてしまい、その結果、ストレスが累積し、体に不調がおきたり、燃え尽きたような感覚に陥ることがあります。支援者として活動する際にも、意識的にストレスコントロールすることが大切です。

ストレスを和らげるためには、安全・安心の確保や、ソーシャル・サポート、日常に近い生活を取り戻すことなどがあげられます。災害後のストレスを和らげるために、家具の固定や近所づきあい、ストレスの解消法を考えるなど、今できることをやっておくことが重要です。また、防災上とても重要なのは、健康であることです。今後ますます高齢社会が深刻化していく中で、一人でも多く、自分で自分の身を守れる人を増やす必要があります。

こころの防災とは、被災後の心の影響に対して、正しい理解をして、ストレスマネジメントについて日常生活から考えることで、災害時に対処できるようにするものです。災害からの回復のためのスキルを身に着けて、災害を乗り越えられるという、災害自己効力感を高めることが重要です。

■フリーディスカッション
ファシリテーター:LSS委員
小牧 規子 氏
(元 読売新聞 編集委員)
西原 智佳子 氏
(日立造船㈱ 環境事業本部 インキュベーション推進部 データソリューショングループ)
フリーディスカッションの様子

今回のフリーディスカッションでは、お子様を持つ親御さんや地域の防災団体の方など、様々な方から活発な質問があり、講師から専門的にわかりやすく回答いただきました。

「ソーシャル・サポートの一環として、被災時に気軽に話せる場を作りたいと考えているが、どのようなものがいいのか」という質問には、「人が来やすいことが非常に重要なので、炊き出しの際に話せる場を提供したり、独居の方のところへ訪問するなど、自分から支援を求めることが不得意な人でも手を差し伸べられるような仕組みがあると非常に良いのではないか」とのご回答をいただきました。

■防災グッズ等紹介・展示

講演前後の時間には、災害がもたらす影響を解決するものとして、災害時等の水の確保が困難な状況でも、口腔の細菌の繁殖を防ぐことができる、ヤマトエスロン㈱様による無水ハミガキセットのご紹介や、地震・防災に関するパンフレット等の展示・配布を行いました。また、講演終了後は、大阪ガスネットワーク㈱様による、水を使わず常備食のみで作ることができる防災クッキングのご紹介・ご試食を実施いたしました。

ご参加いただいた皆様からは、「防災グッズや避難について考えることはあったが、こころについてはあまり考えたことがなかったので、よいきっかけになった」「物資だけでなく心のケア等もあらかじめ知って、心の準備をしておくことが大切だと思った」「心理学に基づいた具体的な実施事項について講義を聞けて大変良かった」などのコメントをいただきました。

無水ハミガキセットの紹介
無水ハミガキセットの紹介
防災クッキングの紹介
防災クッキングの紹介・展示
パネル等展示の様子
パネル展示の様子
 
協賛・協力機関:
大阪ガス㈱、大阪ガスネットワーク㈱、大阪市、サントリーホールディングス㈱、日立造船㈱、ヤマトエスロン㈱

LSS(レディース・サイエンス・セッション)では、気軽に科学に親しんでいただくために、科学技術広報として2011年より「サイエンスカフェ」を開催しております。

「このようなテーマのお話を聞きたい」、「LSSと共同・協力してサイエンスカフェを開催したい」など、LSSの活動にご興味ございましたら、ぜひlss@ostec.or.jpまでご連絡お問い合わせください。

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