水素吸蔵合金の気固相反応を利用した開発用途として、水素貯蔵タンク、熱貯蔵システム、ヒートポンプ、アクチュエータ、ガス精製など多岐にわたる応用がなされている。中でも近年、水素燃料電池自動車や水素エンジン自動車などの水素燃料貯蔵デバイスとして水素吸蔵合金の利用が期待されている。水素吸蔵合金を利用したシステムの開発例をまとめた文献として、大角泰章著「水素吸蔵合金データブック」1)、「水素吸蔵合金―その物性と応用―」2)、田村英雄監修「水素吸蔵合金―基礎から最先端技術まで―」3)などがあり、自動車への応用例としては(財)金属系材料研究開発センターの「自動車用水素吸蔵合金用途調査部会調査報告書」4)などがある。しかし、自動車用水素貯蔵システムとして用いる水素吸蔵合金は、自動車の仕様により大きく異なるため、様々な合金系を同一の評価方法で比較検討した例は殆ど無い。そこで、自動車用水素貯蔵システムに要求される水素吸蔵合金および水素吸蔵合金ユニットについてのデータフォーマットの作成を行うとともに、各合金系(AB5型、AB2型、固溶体型)の代表的な組成をJIS H7202-1995「水素吸蔵合金の水素化速度試験測定方法」に準じて水素吸蔵速度および水素放出速度測定を行うことにより、合金素材としての吸蔵・放出速度を確認し、その内のいくつかの組成で昨年度実施した標準的な水素吸蔵合金ユニットを試作し、標準ユニットでの代表的な特性データの取得を実施した。