脱炭素社会実現に貢献する次世代バイオマス発電用ボイラーに用いる
高耐食性被膜の開発
(近畿経済産業局補助事業)
1. 背景
世界的なカーボンニュートラルの流れの中で
バイオマス発電の普及を妨げている要因の一つが ボイラー管の寿命である。
従来のボイラー管は、
鋼管の表面にインコネル625を溶接肉盛りで被覆していた。
現在、この被膜が最強の被膜である。
しかしながら、塩素濃度が高いバイオマス発電では、
2年〜5年の寿命しかなく、 長期間持つ被膜材料が求められている。
2. 目標
現在バイオマスボイラーは、長期間使用するために
インコネル625の肉盛溶接がなされている。
バイオマスボイラーの市場は2倍以上に伸びる予測であるが、
塩素成分を主体とした腐食環境がより厳しくなり
インコネル625以上の耐腐食材料が
発電所やボイラーメーカーから求められている。
そこで現在開発中のバイオマスボイラー用材料を最適化し
10年以上の寿命を持つ新たな被膜を実現する。
3. 2024(令和6)年度の成果
2024年度に新規テーマとして提案し採択された。
大阪富士工業、大阪公立大、大阪大学、兵庫県立大、
兵庫県立工業試験センター、 大阪産業技術研究所により研究開発を進めた。
インゴットによる大まかな成分評価を実施し、
肝となる成分量の傾向を見定め新たな候補材を製作した。
また開発材のワイヤー製作を実施した。 更に、
実環境に近い腐食試験装置であるボイラーシミュレーターを製作し、
それにより大まかな材料選定と粉末製作、
ワイヤー製作、実仕様試験の目標を達成した。
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