村中教授はゲノム編集技術により、毒のないジャガイモを開発し、それ以外にも「低アミロースのモチモチしたジャガイモ」や「土に植えるまでは萌芽しないジャガイモ」など、新しいジャガイモの研究開発を、国内の大学・研究機関と共同で行っておられ、また新技術開発者、業界関係者、技術に興味のある企業・団体など、さまざまの方々と連携し、新技術の活用と社会実装に向けた活動も行っておられます。
第一部では、村中教授が取り組まれている、毒のないジャガイモの開発を通じて、ゲノム編集が私たちのくらしの中にどのように関わってくるのかをご講演頂きました。
従来より、自然に起こる突然変異や、他生物の性質の遺伝子を利用する遺伝子組換えにより品種改良が行われてきましたが、ゲノム編集では、遺伝子の狙った箇所を切断することができるため、高い確率で変異を起こすことができ、従来の方法に比べて品種改良を効率よく行うことができます。
既存の育種に用いられてきた技術とゲノム編集技術の違いを、トイレットペーパーをゲノムに、ペーパーに貼られた丸いシールを遺伝子に見立てて、わかりやすくご説明いただきました。
その他の国内におけるゲノム編集技術を利用した研究開発事例として、健康成分を多く含むトマト、収穫量の多いイネ、可食部の多いマダイなどの紹介がありました。
第二部では、フリーディスカッションを行い、ファシリテーターと参加者からの質問やコメントをいただき、活発なディスカッションとなりました。
市場にゲノム編集食品が出回るのはいつ頃かという質問には、現時点では来年とも、5〜10年後とも言えないが、ジャガイモはまだまだ時間がかかるとの回答をいただき、ゲノム編集技術応用食品には遺伝子組換えと違い、表示義務がないことについては、参加者からは「何らかの形で分かるようにしてほしい」、「ゲノム編集で品質が向上している食品であることをアピールするブランド表示をすればよいのではないか」などのコメントがありました。 |
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講師:村中 俊哉 氏 |
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ファシリテーター:向かって右側より
小牧 規子委員(関西外国語大学) 有年 由貴子委員(産経新聞社)
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